51)桜が育ちません

 昔、神社の境内は桜の名所で有名でしたが、最近は新しい苗木を植えても植えても、大きく育ちません。肥料もほとんどやれていない状態で、土壌もたいへん悪いのですが、まず何から手をつければ良いのでしょうか?
  昨年植えた桜を除き、ほとんどすべての桜が
写真のような状態です。治療すれば、治る見込みはあるのでしょうか?

土壌に原因があると考えられます

 写真に写っている幹を覆っている白っぽいものは何種類かの「地衣類」とよばれるコケの類だと思います。この「地衣類」は病気ではありませんし、サクラには住処を借りているだけなので、悪い影響はほとんどないのではないかと思います。
 地衣類はむしろ、その場所の空気が綺麗なことの証拠です。また、日当たり、風通しがよく、そして空中湿度が適度な環境でないと生育できないものですから、環境的にその場所がよい場所であると言えると思います。
 「昔、神社の境内は桜の名所で有名でした」ということからも、この場所が決してサクラの育ちにくい環境ではないということが伺われます。

 そのような環境なのに、今は植えても植えてもサクラが枯れる、ということは地中になにか原因がある可能性もあります。
  よく「サクラは嫌地をする(前にサクラがあった場所ではサクラが育ちにくい)」ということを聞くのですが、これはその前にあったサクラが枯れた原因になる病原菌や線虫が土中に残っていて、それが新しいサクラに影響した結果ということが多いようです。
 やはり的確に判断するためには、年間を通して現地で弱る状況を観察した上でないと難しいですが、上記のような原因で起こっている可能性があるならば、その対策としては次のようなことが考えられると思います。

1.同じ境内の中でも、過去にサクラが植わっていなかった場所を選んでサクラを植えてみる。
2.どうしても元と同じ場所にサクラを植えたい場合には、その悪影響を及ぼす土中の原因を取り除くために、かなり大きく穴を掘って周囲の土をまるごと取替え、そこに新たに植樹する。

のいずれかかと思います。
 手間がかかって大変かもしれませんが、何度も同じことを繰り返して失敗する手間を考えた場合には、このほうがむしろ省力的で確実かもしれないと思います。
コウヤク病、テング巣病、ナラタケ病などが考えられます

 病気の種類と薬剤での対処の観点から回答させていただきます。 写真の状況から複数の病状が見られます。まず、コウヤク病、テングス病、ナラタケ病などです。


1.コウヤク病はカイガラ虫類と一緒に生活する習性があります。灰白色コウヤク病。褐色コウヤク病、黒色コウヤク病など、枝や幹にちみつなカビ・コケ類が生えてきます。防除法は1月〜3月上旬頃までの外気温の低い時期に石灰硫黄合剤を8〜10倍液で散布又は、筆やハケなどで菌体に塗布して下さい。2〜3年続けてください。

2.テングス病は枝に発生し、始めは枝の一部にこぶのような隆起ができ、その付近から軟弱な小枝にたくさんついて、ホウキ状になります。開いた葉も次第に黒色になり、ちぢれて数年で枯れ死します。除去方は現在の段階ではありません。見つかり次第枝を切り取り焼却するほかありません。

3.ナラタケ病は幹の地ぎわ ( 幹の地面と接する根元 ) の部分が侵され、病患部の樹皮を剥ぐとキノコの臭いがし、白色の菌層があります。病菌は土壌伝染性で根に寄生します。土壌を入れ替える必要があります。全体の60〜70%近くの土壌を入れ替え、その後、有機質肥料(油類、牛糞、鶏糞など)を施して4月下旬〜5月下旬に殺虫剤カルホス乳剤800〜1000倍液を散布してください。(カイガラ虫、アメリカシロヒトリ)秋(8月下旬〜10月上旬頃)にも殺虫剤の散布が必要です。年2回以上サクラの状況に応じて薬剤散布 ( 樹木全体)を行ってください。