エッセイ私と桜
 


桜の杜

 
黒部市役所下水道課 小崎敏弘 
 


黒部市の水のシンボル、アクアパーク。小崎さんは、その中にある「桜の杜」の産みの親です。この人がいなかったら、桜の杜は実現しなかったでしょう。
  平成10年9月18日の夕方、職場に思いがけない電話が入ってきた。
 「第9回緑のデザイン賞に入賞しました。」
 「えっ!本当ですか?」
 「緑化大賞の助成金は1000万円です。」
 「?×△□!・・・あ、ありがとうございました。」
 この年齢になると、滅多なことで興奮することは無いのだが、この時ばかりは喜びのあまり興奮してしまい旨く言葉がでてこなかった。
 入賞した「緑のデザイン賞」は、(財)都市緑化基金と第一生命保険が、全国から地域の緑化プランを募集し、優秀プランに対しその実現の為に助成を行う制度であるが、実はその前の第8回にも応募しており、見事に落選していた。
 以前私は、某大型量販店が実施していた同様の趣旨の制度に公募し、助成金50万円を貰っていた。そこで、二匹目の鰌を狙って応募したのであるが、やはり助成金の桁が違う分甘くは無く、見事選外となっていたのである。
 落選後、過去に入選したプランのデザイン概要、コンセプト等を徹底的に検証した。その結果 、キーワードは歴史、気候風土、国際交流、住民参加であることを知った。そこで私の頭の中に閃いたのが桜。市内には桜に関する多くの伝承事がある。南限域と北限域の桜が共生できる。米国メーコン市との交流。サクラワークショップの存在。すべてが合致する。これでいけると確信。コンセプト、デザインを、桜を中心とした緑化プランに練り直し再応募。どうにか入賞を果 たした訳である。しかも、もし前回入賞していれば助成金は500万円。今回は助成金が大幅アップし、落選したお陰で倍の1000万円になるという、でっかいおまけ付きだったのである。 
 その年、助成金で黒部浄化センター内のアクアパーク「桜の杜」に、11種類81本の桜を植えることができた。その後も植え続け現在13種類300本。シダレザクラ、エドヒガン、ヤマザクラ、ウコン、チョウジ、ミドリザクラなどが、3月末から4月末の約一ヶ月間、赤やピンク、黄色、薄緑色と色とりどりに順番に花を咲かせる。
 苦労した1000万円をもとに完成した桜の杜。今は、木々も若く「杜」とは言い難いが、私の心には、いつも満開の「桜の杜」が映っている。



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