「街の桜を元気にする」

 
株式会社サカエグリーン 山本栄(樹木医)
 

5月下旬、黒部市内で、「樹木と土壌改良」をテーマに講習会を行った山本さん。受講者の熱心な姿勢に感銘をうけられたそうです。最近はサッカーW杯クロアチアキャンプに向け、スポーツフィールドの維持管理に汗を流しておられます。

私は、街区の桜管理として、昨年までの5年間「松川の桜並木」に取り組んできました。これまでの樹勢回復対策事業のおかげで、現在では素晴らしい緑量と緑感を呈するようになっています。この事業に関わってきた一人として大変喜んでおります。
 「松川の桜並木」のように街区環境にある桜は、周囲がアスファルト舗装などで覆われているため、土壌がアルカリ化する傾向にあります。また、森林で見られるような「物質循環」も無いため、根圏土壌からは桜の成長に必要な栄養素が年々収奪されます。特に、アルカリ化土壌でのリン酸や微量要素の欠乏が花の質を左右すると考えられます。
 このような土壌環境の悪化が直接的な樹勢低下につながると私は考えます。これに伴い、食葉性害虫(毛虫やイモ虫)や穿孔性害虫(コスカシバやカミキリ虫など)による加害や、根頭がんしゅ病、材質腐朽病の罹病も増加します。
 水田や畑地では、一作毎に堆肥などの肥料を施しながら耕すことができます。しかし桜は、耕作のような手法は不可能です。そこで「松川」では、根を傷めないようにアースオーガーを用いて、樹冠下に深さ60cm以上の孔をあけ、木炭・放線菌バーク・ケルプを主体とした混合物を施しました。この方法は、放線菌や菌根菌などの有効微生物活性を高めることで、根圏土壌の生化学的な改良を目的としています。少しずつその効果を確認できるようになってきましたが、その信憑性については未だ評価できないのが現状です。今後、皆さんと、短〜長期での評価をしていこうと考えています。
 このように街区の「桜守」になろうと努力はしていますが、本心は、遠く里山に映る桜を見守るほうが好きです。