2002年2月1日

 

「春よ、来い」

宇奈月温泉 烏帽子山荘  佐藤 靜
 

宇奈月温泉街にある料理旅館の若女将、佐藤靜さん。「美しい自然の中で見る桜はまた格別 」。

日本人の多くがそうであるように、私もまた桜を愛するもののひとりです。
 春になって、日本の各地から桜の便りが聞こえてくると、心が弾み、どこか落ち着きをなくし、居ても立ってもいられなくなり、今年はどの辺りの桜を誉めにゆこうかと想いを巡らします。毎年桜は咲く前から私を楽しませてくれるのです。お重にお弁当を詰めて近くの名所にお花見に出かけることもあれば、京都まで足を伸ばしたこともあります。
 けれど、遠くに出かけなくても私の住む宇奈月温泉でも桜を楽しむことは出来ます。宇奈月には私のお気に入りの桜のスポットがあり、毎年私を楽しませてくれます。それは宇奈月公園の桜だったり、トロッコの駅前の桜であったり、友人のお宅の前の古木だったりします。
 大袈裟にお花見と言わなくても、散歩の途中桜を眺め、桜の木の下に佇んだだけでも幸せな気持ちになるのは私だけではないでしょう。桜の魅力を考えた時、桜はその美しい姿形、色、だけでなく散り方までもが人々を惹きつけています。
 けれど私にとっての桜の最大の魅力は、桜が北陸の長く厳しい冬を越えて待ち望んだ春の象徴であるということです。少し遅れて宇奈月に春が訪れ、トロッコが動き出す頃、黒部川の川越しの新緑の山のところどころに白く浮かぶ山桜、それを眺める時、「あぁ、宇奈月にも春が来たのだ」と実感するのです。
 今年も待ち遠しい桜です。