エッセイ私と桜
 

桜にかかわる子どもたち

 
黒部市立三日市小学校長
飯村 滋

校庭にある桜は、子どもたちから愛情をたっぷり注いでもらい、美しい花を咲かせています

 昨年4月、本校に着任した日、校地にある15本の桜が歴史ある校舎を爛漫と彩っていた。満開の桜は、子どもたちの進級を祝い、新入生を迎えてくれた。花びらが雪のように舞う光景も、美しい。地上は、花びらの絨毯になる。それを低学年の子どもたちが、手や黄色帽子ですくって遊んでいた。
 朝出勤すると、早めに登校して竹箒で落ちた花びらを掃く男女5、6人の6年生の姿があった。聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
 
「自分から進んでやっている」
 「先輩もやっていたから」
 「6年生になったらやりたいと思っていた」
 彼らはその後も毎朝、掃き続けた。竹箒の使い方が上手になるには時間がかからなかった。また、掃く場所を分担したり、箒を持つ人と箕を持つ人とに分かれたりなど、自然に仕事の段取りや手順を工夫していった。
 当初は、6年生としての責務から始めた前庭掃きであったが、続けているうちに「きれいになって気持ちがいい。明日またやろう」という気持ちになったそうだ。また、黙々と掃いていると、下級生が「おはようございます」とあいさつしてくれて気分がさわやかになったり、近所のおばさんに「ご苦労様」と声を掛けてもらうと、自分が役立っている喜びを感じたりするようになったという。そして、秋のころには「落ち葉がたくさんある日は、やり甲斐があってうれしくなった」に進化したそうだ。
 校地の桜は、子どもたちが「自分の仕事」として前庭掃きを続けることで、生きた知恵や自己への自信を生み、生きる力を育んできたのである。
 三日市小学校のシンボルである桜を、建設中の新校舎にも植樹し、子どもたちが桜を通して先輩から綿々と受け継いできたすばらしい教育の伝統を後生に伝えていきたい。



三日市小学校の桜について紹介しています! 
  黒部の桜→黒部の自然と歴史→新任教師が植えた桜

黒部市立三日市小学校のHP http://www.tym.ed.jp/sc22/



 


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