「松川の桜の『いのち』」

 
富山市建設部公園緑地課主査 松島茂宜(樹木医)
 

松島さんは、昨年富山市内で開かれた桜シンポジウムの立役者。松川のソメイヨシノの樹勢回復に力を注いでおられます。

 今年も、きれいに咲き誇ってくれた「松川の桜並木」を見て正直ほっとした。
 全国的に、記録的な速さで桜前線は北上を続け、富山でも3月25日に市役所や県庁裏の桜が開花した。
 私の記録では、今まで最も早かった平成2年の3月26日開花より1日早い史上最速だった。今年の花は特にピンク色が濃く鮮やかで、一つ一つの花びらも大きくしっかりと花弁に着生し、春一番の強風にも耐えながら咲いていた。
 「松川の桜並木」の樹勢回復のため、調査や保護育成管理の仕事に本格的に取り組んでから5年目。ようやく成果が実感できたような気がした。
 ここの桜はソメイヨシノという品種で、エドヒガンと大島桜の交配種といわれる園芸種の一つで、一般的に短命で樹齢が70年〜80年といわれている。
 短命といわれるのは、植付け場所の土壌の条件や立地環境に関係がある。だが、人為的な環境の変化を与えられることが原因とされ、「桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿」と言うことわざにあるように万人は手入れをしてはいけないという先入観を持っており、放置された状態が常識となっている。そして、年月の経過とともに樹勢も老化が進行し、樹命も短くなるのだ。
 今まで取り組んできた施業の方向性を基礎に、今後も葉による光合成が十分にできる枝配置ための剪定を行い、肥料などを補給して呼吸困難にならない土の膨軟化で、根が発達できる土壌環境を作りと、徹底的な病害虫の防除をしていく予定だ。
 「松川の桜並木」を、全国に誇れる「長寿の桜の名所」にしたい。